労働法の散歩道

yahoo知恵袋で回答していて、繰り返し同じ投稿するロスを減らすために資料室としてもうけました。

月間時間外集計

ひと月の時間外労働の集計のしかたをまとめてみました。時間外の集計をするにも、一筋縄にはいかないのでしょう。日8時間超えたところ、週40時間超えたところ、日で計上した時間は週では除外する、月をまたぐ週はどちらの月に計上するのか、ひとつひとつ明確にして判別していかねばなりません。そこで練習問題を作ってみました。マス目の左肩は日付、右下は実労働時間(簡便にするため時間単位とし分単位はなし)を記載してあります。2重線で囲んだ範囲が当月内となります。なお、毎週休める休日をいれてますので、法定休日労働を考慮することはありません。法定休日労働にあたる分はこの計算にのらず、別途集計して休日割増賃金支払いとなります。

 
Ⅰ 週     1 2 3 4 5
Ⅱ 週 6 7 8 9 10 11 12
10
Ⅲ 週 13 14 15 16 17 18 19
Ⅳ 週 20 21 22 23 24 25 26
11
Ⅴ 週 27 28 29 30 31    
11

週は日曜始まり、変形労働時間制を取っていないものとします。時間外労働は実労働時間の日8時間超えをピックアップ、そして日で時間外としなかった時間を週累計して40時間超えをピックアップします。上の表を週ごとに見ていきます。

 
Ⅰ 週     1 2 3 4 5

第1週、毎日定時で帰って日々の時間外はありませんが、土曜日がこの週の6勤務目ですので、この日の8時間が週40時間超えの時間外労働となります。

 
Ⅱ 週 6 7 8 9 10 11 12
10

第2週、週全体でみると40時間に収まっていますが、火曜日にした時間外2時間は、木曜に早帰りさせたとしても帳消しにはなりません。火曜の最後の2時間を時間外労働とカウントします。

 
Ⅲ 週 13 14 15 16 17 18 19

第3週、毎日7時間労働で、日において時間外はありませんが、週累計で42時間となり土曜7時間の内最後の2時間が時間外労働。週の時間外労働2時間となります。

 
Ⅳ 週 20 21 22 23 24 25 26
11

第4週はどうでしょうか。日においては、
24日11-8=3
25日 9-8=1
計4時間時間外労働しています。週の累計するとき、24日、25日の両日、時間外とカウントした時間を除外して週集計します。すなわち
8+7+7+(11-3)+(9-1)+8=
8+7+7+   8  +  8  +8=46
週40時間超えは6時間となり、土曜8時間の最後の6時間が時間外労働となります。日と週あわせてこの週10時間時間外労働です。

この週単純に足し合わせて50時間になるのですから、40時間超え10時間とすればいいように思えます。それではいけないことを、次の週で説明してみます。(先にみた第2週で日を度外視すると、週累計では40時間ちょうどですので、時間外労働がないことになってしまいます。)

 
Ⅴ 週 27 28 29 30 31    
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第5週も前週と同じように時間外労働したとします。しかしこの週の途中に月を跨ぎます。日のカウント、週のカウントは前週同様ですが、日のカウントのうち当月内は31日のみの3時間、それ以降の日、週超えのカウントは翌月に持ち越しとなります。

それでは時間外の週別月別集計表を作ってみました。この月の時間外労働は計25時間となります。

  前月計上 当月計上 翌月計上
 
Ⅰ 週     1 2 3 4 5  
Ⅱ 週 6 7 8 9 10 11 12  
10
Ⅲ 週 13 14 15 16 17 18 19
Ⅳ 週 20 21 22 23 24 25 26
11
Ⅴ 週 27 28 29 30 31    
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2023年4月中小企業の月間60時間超5割増賃金支払適用開始されるところ、月の集計に関する解説記事がネット上に見当たらないのが気になるところです。 調べてみたら月間時間外時間集計は、平成22年改正労働基準法のあらまし7ページ以下のほうが詳しいです。 以上時間単位の説明でしたが、分単位も交えた説明は下記の「時間外労働のカウント」をご覧ください。